多くの建物に、地震時の安全判定を
IoT技術で高品質な建物などの
構造状態監視システムを構築
地震対策のカギを握る、建物の健全性評価
地震への備えの重要性が高まるなか、マンションやビル、橋梁などの社会インフラ構造物の地震対策に注目が集まっています。国内の中・大規模なマンションやビルには1980~1990年代に建てられたものも多く、コンクリートの耐用年数を超えている建物もあり、大きな地震により構造性能が低下する可能性が高いといわれています。
こうした課題への対策として、建物の耐震補強工事だけでなく、地震発生後の建物健全性を判定する「構造ヘルスモニタリングシステム」へのニーズが高まっています。このシステムは、建物に振動センサを設置することで地震の影響を計測し、建物の損傷の程度を自動的に推定するものです。地震発生後、建物の健全性が保たれ安全であるかどうかを即時に判定・発信できるため、被害の拡大防止が期待できます。しかし、導入するには専用線の工事が必要になるため、既設ビルにおいては高いコストや大規模な工事が導入障壁となっていました。
システムの品質向上において、データ通信が課題に
振動試験装置や地震計などを製造するIMV様では、かねてから「長周期地震対応構造ヘルスモニタリングシステム」を提供するなかで、既設ビルへの導入がなかなか進まないことが課題になっていました。「より多くの建物に適切な地震対策を行ってもらうためにも、構造ヘルスモニタリングシステムの振動センサ設置工事の負担を抑えコスト削減につなげたい」という思いから、専用線の工事が不要な「ワイヤレス構造ヘルスモニタリングシステム」の開発がスタートしました。
開発において課題となったのが、データ通信の安定性です。システムの特性上、地震発生時でも安定したデータ通信を実現する必要がありますが、ワイヤレス化により接続が不安定になることが懸念されました。この課題を一緒に解決してもらえないかと、福西電機に相談がありました。
通信面・安全面ともにクリアするシステムを構築
開発プロジェクトがスタートしてすぐに、IOTゲートウェイを活用してシステム構築するという方向性が決まりました。以前、当社がお客様に提案し、他の機種で採用いただいたIOTゲートウェイの使用感が良かったため、それと同じシリーズの製品を使うことになりました。
このIOTゲートウェイを活用すると、建物の各所に設置した高性能振動計測ユニットのデータを収集し、そのデータを無線でクラウドへ送信することができます。地震発生時には最大層間変形角の診断など従来の類似システムでは難しかった機能も実現できるうえ、地震発生後、即時に建物健全性をメールで通知することも可能です。さらに安定したデータ通信により、専用クラウド「GalnetCloud」で地震前後の建物の状況をWebブラウザでどこからでも確認できるようになりました。また、拡張ボードにより、外部機器の緊急停止制御も行えるため、さまざまな外部機器との連動性にも優れています。IOTゲートウェイを使用する事で、専用線の工事が不要なシステムを構築でき、工事コスト面からも既設ビルに導入しやすくなりました。
豊富な知見と最先端の情報により、防災・減災に貢献
今回のシステム構築サポートを通じて、建物・インフラ構造物の防災や減災に繋がる製品開発を支援しました。
このように、当社が持つシステム構築の知見や最先端の部品情報を組み合わせることで、新たなシステムの構築や既存システムの機能・拡張性の向上を支え、より安全で安心な社会づくりに貢献していきます。
商品情報
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商品名
ワイヤレス構造ヘルスモニタリングシステム HM-5013
- 販売元
- 地震発生後、
即時に被災度を判定・発信 - 複数の建物に設置した振動センサの情報をもとに、各建物の「地震速報」と「被災度判定」をメールで受け取ることができるクラウドシステム。精度の高い振動センサと安定した産業用無線を採用している。専用線の工事不要で、既設ビルでも容易に導入できる。